プログラムノート
1) チェロ独奏曲<横豎>+小鼓
能楽の大鼓(おおかわ)打ちの掛け声が大変に魅力的で、そのイメージを作品化したいと思った(1986年堤剛委嘱作品。サントリーホール・オープニングシリーズ)。
この独奏曲に小鼓が加わることにより、曲は異化され、ドラマ性が際立つことになる。実に面白い体験をさせていただくことになった。ちなみに小鼓のパートは私が多少のアドバイスをしたが、ほとんどは奏者の即興にお任せしている。
「 序・破・急」を意識した構成となっている。
2) 尺八3重奏曲<風韻 Ⅱ>+2バロック・ヴァイオリン
新典音楽協会の委嘱作品の尺八3重奏曲にバロック・ヴァイオリンを加える試み。
尺八とバロック・ヴァイオリンの響きはしっとりと融合し、同時に対位的空間の広がりを作り出すだろう。その妙味を味わいたいと思う。
曲の構成は対称形、つまり真ん中から冒頭に向かって折り返して行く。それとわかって聴いていても、そうとは分かりにくい摩訶不思議な感覚を体験することになる。
3) 尺八とピアノのための<ロンターノ C>→ 尺八とオルガンのための<ロンターノ C>
飯野明日香さんの委嘱により尺八とエラール・ピアノのために作曲した。エラールはいわば古楽器であり、モダンのピアノより不自由な感があるが、独特な音色に魅力がある。
(続き)