2021年全音四人組コンサート
新曲〈ソムニウム〉について

2021年全音四人組コンサート(11月30日東京文化会館小ホール)
新曲〈ソムニウム〉について

この曲はクラリネットとピアノのための十数分の作品。以下、プログラムノートより引用します。

私たちの見る夢=somnium(L.)は実に不可解な代物だ。通常は眠っている間に外部から刺激があるわけではないので、これは純粋に自分の内部での出来事である。つまり、自分の知らない何かが内部に潜在しているということになる。仮にこれを「狂気」と呼んでも良いだろう。
この「狂気」のようなものを描きたいと思うのだが、狂気そのものを描くのは到底できない。なぜなら音楽は一定の「秩序」の中に成り立っているものだからだ。と知りつつも敢えて試みたのが本作である。
文学、絵画、映画…の中に体験する不可解、不条理、あるいは狂気が今回の作品に立ち顕れるのかどうか分からない。一篇の「美しい」作品となってしまうのであれば、それに甘んずることにしよう。
全体は1楽章形式。初演の労をお取り下さる板倉さん中川さんは長年の音楽仲間で、この曲はお二人のキャラクターと卓越した音楽力を頼りに作曲を進めたのだった。…

まだリハーサルを聴いていないので、結果については予想ができない。作曲家は自作についてかなり精確に掴んでいると思われているかもしれないが、実はせいぜい90%ほどで、残りの10%は未知である。でもこのことこそが新作の楽しみなのです。
初リハーサルをドキドキしながら待っている現在です。

■ 四人組とその仲間たち

現代室内楽の夕べ

全音現代音楽シリーズ その27
室内楽コンサート 現代日本の作曲家
全曲新作・世界初演

新実徳英作品:「ソムニウム」クラリネットとピアノのために(委嘱初演)
板倉康明(クラリネット)
中川俊郎(ピアノ)

2021年11月30日(火) 19:00 東京文化会館 小ホール

主催/制作/お問い合せ 株式会社 全音楽譜出版社