身体を使うことの悦び

 言うまでもないことだが、僕たちは身体を使って生きている。もちろん頭だって身体のうちだが、サッカーは別として、頭を使うというのは身体を使うことを意味しない(笑)。僕の趣味はピアノとヴァイオリンとテニス。いずれも下手の横好きのレヴェルを一歩も出ない。でも楽しいのですね。ピアノは毎日ショパンのエチュードを4曲ほど遊び弾きするのですが、ある時指が行かないまま弾いていたフレーズに指が行く、バッハのシャコンヌのボウイングがちょっといい感じがする。上手くなる、にはほど遠いが、半歩前進、という感覚が楽しい。
 テニスにもあるのです。かつて73キロあった体重をついには63キロまで落とした時、これまで追いつけなかったボールに届くようになったのです。これは技術的進歩ではないけれど、一種の改善で、言わば自助努力の結果なのです。最近はフォアハンドのスライス感覚の開発を自らに課したところ、なかなかに楽しい世界が見えてきました。
 とまあ、たわいのないことを記して恐縮ですが、どんな状況にあっても悦びを見出すことができる、とお伝えしたかったのです。音楽という至上のものと生きている方々には無用の発言かもしれません。
 数々の演奏会が中止になった事態の中で、お互いに夫々の希望を見出して生きていきましょう!
(2020年4月7日)