「重々無尽」

いつの間にか自分の言葉のように使っているが、どこで出会ったのだろうかと思っていたら、ありました、2005年に買った文庫本『十六の話』(司馬遼太郞著、中公文庫)の「華厳をめぐる話」の項。以下に引用します。

  …前略…華厳思想にあっては、一切の現象は孤立しない。
孤立せる現象など、この宇宙に存在しないという。一切の現象は相互に相対的に依存しあう関係にあるとするのである。…後略…

『十六の話』(司馬遼太郞著、中公文庫)

この文章に感動興奮して「重々無尽、これは科学的宇宙観と同一である」とページ上に鉛筆で書き込んでいる。
宇宙が個別にではなく、ビッグバンから始まったのであれば、今の宇宙の全てはそこにある、という道理だ。宇宙物理学の佐治晴夫先生も御著作でそのことを記しておられるのを後で知った。
私たちは間違いなく宇宙の子ども。そう思う時、自分がこの地上から宇宙のかなたまで広がっていくように感じられます。
コロナのおかげで様々な困難・苦痛に直面しますが、宇宙を観じ、大きく深呼吸したら多少は心が楽になれそうではありませんか。