男の料理

『美味礼賛』の著者、ブリア ・サブラン氏が、君が何を食べているか言ってみたまえ、君がどういう人間か言い当ててみるから、と言ったそうだ。こわいような話だが、サブラン氏はとっくにいないし、もしや僕という人間が、こんなか、とかそんなとか見透かされても、どうせお里が知れているので、恐るに足らず(笑)。というわけで、いくつかの簡単、旨い、体に良い料理をご紹介します。

①豚菜
トンナと読んでください。まずは出汁。これを沸騰させ、そこに小松菜をぶちこむ。菜に熱が通ったとおぼしきタイミングで醤油で味付け、それから豚肉切り身を放り込む。豚肉に火が通ったら出来上がり。豚肉の替わりに揚げでも良い。その場合は揚げ菜と読んでください。醤油の替わり味醂とうすくち醤油も良いですね。要は吸い物ですが、野菜とたんぱく質が摂れます。

②しらたら
これは三善師匠直伝のおつまみ。師は寂しき折りのシラタラかな、とおっしゃっていたが、真意は不明なり。
とにかくシラタキ(なるべく黒っぽい、芯の強そうなヤツ、かつ細身、間違っても白っちゃけたヤツはダメ)をフライパンで空煎り。シラタキは焦熱地獄の中で半分くらいに身が縮みます。これを冷蔵庫で冷やす。一方、タラコを叩く、あるいはその状態のタラコでもかまわない。これは安いですね。
シラタキがほどほどに冷えたら、このタラコとあえる。まずは胡麻油をたらし、こねこね。その後お酢を適量たらし、もう一度こねこね。これで出来上がり。日本酒にぴったり。

③トマト玉子
これは西新宿にあった白龍館のマスターの料理。レシピを訊いたことはないけれど、僕流のアレンジ。
まずは玉子2個を少なめのオリーブ油で炒める。この時に肝心なのは玉子を軽くかき混ぜること。ふーわりした玉子炒めができる。スクランブルエッグにしないこと。その玉子をボールに移し、同じフライパンでトマトを炒める。皮を引くかどうかはお好み次第。トマトは適当に刻んで炒め、そこに先ほどの玉子を合体させる。塩、胡椒はお好みで。
これも軽いおつまみ。あっという間にできて、かつ美味しくヘルシー。

続編をご期待ください。