詩から生まれた、あるいは詩に触発された音楽というものがある。代表格はドビュッシーの<牧神の午後への前奏曲>だろう。マラルメの詩は幻想的官能的だ。
かつてオーレル・ニコレ氏にインタビューした時、氏が「この曲が20世紀のフルートの時代の幕開けとなった」と語られたのが印象的で、なるほど、と頷いたのだった。因みにこの曲はソナタ形式に準じて作曲されている。
もう一つの名作がラヴェルの<夜はギャスパール>(ベルトランの詩集による)。三善晃師のレッスンに通い始めた頃(僕は東大の4年生)、数字付低音の説明をして下さったと思ったら、いきなりその第2曲「Gibet=絞首台」の和声分析の宿題を与えられてたまげたのだった。思い出深い曲集。
第1曲の「オンディーヌ」を生アルゲリッチで聴いた時の衝撃!まさしくさざ波が見えるのだった。
さて、同様のこと(?!)をいま試みつつある。『荒地』の音楽化である。(続く)