2023年4月9日14時開演、東京オペラシティ・リサイタルホール
内容豊かな、美しい響きに溢れた演奏会だった。
前半は 1. ショパン 前奏曲 嬰ハ短調 2. シマノフスキ「シェヘラザーデ」 3. 新実徳英 夢の王国
後半は 4. ショパン 舟歌 嬰へ長調(奇しくも?1.のⅣ度調) 5. ベートーヴェン ピアノソナタ「ワルトシュタイン」
「プログラム前半が一つのストーリー…前半自体が後半のプログラムへの大きな前奏曲」(小田)というよく考えられた構成。
僕の<夢の王国>は唯一の日本人現代曲だが、なんの違和感もなく、見事に嵌まっていた。
プログラムに嬉しい言葉をいただいた。
ご挨拶「前略…今回の<夢の王国>は4曲で一篇の物語のようで、一聴すると無調で新しい響きで作られていますが、まるでシューベルトの歌曲のように歌や語りが散りばめられています。多層的な響きと彩りとともに楽しんでいただけると幸いです。これが左手だけのための作品というのが信じられません。…後略」
まさにそのように演奏していただいた。舘野泉さんの計6箇所での初演と動画配信、そして今回の再演、この曲が幸福な歩みを始めたことを実感した。
小田裕之の分析力、構成力、演奏力、そしてそれらを柔らかく包む人間力。まことに幸福な時間をいただいたのでした🎵