飯野明日香リサイタル

2021年5月22日サントリー小ホール

前半は「エラールの旅」第2回
ベルク、ベリオ、ミライユのピアノ作品、そして僕の新曲〈ロンターノ C.〉~尺八とピアノのために。自分の曲は練習の立ち会いで何回も聴いているのに、この流れの中で聴くと不思議な新鮮さと相対化が感じられ、楽しい体験だった。
三橋貴風、飯野明日香のお二人のテンションと集中力が素晴らしく、聴衆を引きずり込んでいくのが空気で伝わってきた。
尺八本曲の〈鹿の遠音〉が常に背景にある、というこの曲、終わってみると〈鹿の遠音〉が骨髄に入っている貴風さんが、作った僕よりも曲の意味と意義を理解されているのではないか、そんな風にも思われてくる。
昨日のお客様には尺八本曲を知らない方だって少なからずいらっしゃるはずで、そういった方々にこの新曲はどのように聴こえたのだろうか。知っていれば何かしら先入観があり、それが鑑賞の妨げになることだってあり得る。
百人百様の感性知性、宗教観ほかのさまざまなバックボーン、そんな中で普遍性を獲得するとは一体なんだろうかという答えのない疑問。そして想像。同時に何かが伝わったという手応え。
音楽は不思議、作曲は面白い!

後半は10人の作曲家による日本の歌の「パラフレーズ」大会。力作名作揃い。まったく油断も隙もないぜ、の感あり。堪能。


■ 新たな出会い Parfum du Futur vol.21

新実徳英作品:ロンターノC.~尺八とピアノのための
(委嘱作品・世界初演)[2020]
ピアノ:飯野明日香、尺八:三橋貴風

2021年5月22日(土) 14:00 サントリーホール ブルーロ-ズ