現場から ―2023.10.12

女声合唱を頼まれていて吉原幸子さんの「無題(ナンセンス)」をまず選んだ。いかにも吉原さんらしい感覚に溢れた詩。その「優しさ」を思わず抱きしめたくなるような。
書けるかなぁ?と思いつつ書き始めたら、なんというか「自分流合唱cliche」に嵌まりそうになり止めた。詩を良く読み直すと、これは先ずソロだなと思われるのだった。
そういえばソプラノの叙情歌曲をしばらく書いていない。先ずはソプラノのための歌曲を書く、次にそれを女声合唱にアレンジする。最初から女声合唱を書けば良いのに、これは二度手間ですね(笑)。
ともかく一つの試み、修行と思って取りかかった。最初はゆるゆると進行したが、昨日後半があっという間に出来上がった。ま、書ける時はこんなもんです(笑)。
これがどんな女声合唱になるのか楽しみ、という一つの曲の作曲で二度楽しむ。作り手ならではのマゾ的(自分いじめ)楽しみ。3曲のチクルスなので、あと2回、同じ楽しみ(苦しみ)が待っている(笑)。
昨年はバリトンとピアノのための<魂舞ひ>を作曲。これは叙情を三歩くらい踏み出した曲。演奏が素晴らしく、しばらくしてふと思いついた。「これを男声合唱にしたら面白いぞ!」。ありがたいことに早稲田大学コール・フリューゲルが受けて下さった。12.15の初演です。
これが普通の順序。今回のやり方はこちらからソリストを探さなければならない、という羽目になる。さて、どうなることやら。


早稲田大学コール・フリューゲル
第68回定期演奏会

2023年12月15日(金)18:30開演予定
渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール

新実徳英作品:魂舞ひ 男声合唱とピアノのための
※男声版初演
Ⅰ. 明恵上人・空海上人の歌
Ⅱ. 万葉集より
Ⅲ. 沖縄(琉球)の15~6世紀の歌

指揮:清水敬一、ピアノ:小田裕之