僕の新作<荒地>ー打楽器とピアノのためにー(打楽器:上野信一、ピアノ:中川俊郎)
詩人の新井高子さんが感想を寄せてくださいました。
「現代室内楽の夕べ 四人組とその仲間たち2023」(上野・東京文化会館)へ。新実徳英作曲「荒地――ピアノと打楽器のために」、圧巻なり。「曲」でもなく、「音」でもない。その間のレベルで、岩や巨石や小石が、ごろごろころころどっでんでん。エリオットが書いた1922年、第一次大戦後の荒涼が、100年後の今、素晴らしく洗練されながらも、その即物感のままやってきた。何をしでかすか、その時代の果敢な問いを、新実は今こそ投げかけたかったのだろう。演奏家からも耳目が離せず、ライブに立ち会う醍醐味ここに。
新井高子さんらしい感想。ベートーベンの1822年、エリオットの1922年、『荒地』のエクフラシスを思いついた2022年の暮れ、なぜかこの100年スパンが頭にあったのでした。