本の話 ⑦ 『トリスタン・イズー物語』

『トリスタン・イズー物語』(岩波文庫)

ケルト起源と言われるこの物語、皆さんご存知のこととて中身について敢えて記さないが、冒険譚を読むような気持ちで、ワクワクしながら読んだ。ベディエ編、佐藤輝夫訳、素晴らしい出来栄え。
いったい媚薬とは何か。いつ頃、誰々が考え出したのか。男と女がワインを飲んで意気投合したら、そのワインは媚薬同然ではないか、という穿った見解も成り立つ!?
いつの間にか同じ本を二冊持っていて、今回読んだのは片っ方の一冊です(笑)。

バレンボイムがドイチ・オパー(たぶん)を率いて来日した時の〈トリスタンとイゾルデ〉の震えるような素晴らしさ❗を思い出す。〈フィガロ〉は当然としても〈モーゼスとアロン〉まで全て暗譜で振ったことの凄さ。母語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、英語、全て大丈夫、かつスコアを本のようにスラスラ読んで、かつ覚えてしまう。ま、スーパーマンっているんだな、と思うしかない。