高村光太郎詩集(高村記念会刊)の後書きより。
前略…「独創はいらない、生命がいる」「何を生命と呼ぶか、あらゆる意味から君を感動させるもの、君を突き貫くものの事です」「肝心なのは感動する事、愛する事、望むこと、身ぶるひする事、生きることです」進むべき道を光太郎はこれと定めた。…後略
『智恵子抄』をテキストに男声合唱と弦楽オケの新作を書くことになり、この詩集を読み、後書きに目を通している時に出会った。「独創はいらない、生命がいる」は鮮烈だ。迷いの中にあった光太郎が、これらの言葉で蒙が啓けたその時の感動はいかばかりであったろうか。
ジャンルを問わず、作品の大小を問わず、作ったものには生命・魂が入っていなければならない。いきいきとした生命体を産み出せたなら、そこには自ずから独創性がある、ということだろう。ロダンの達観、生きる自信がこれらの言葉から溢れ出ている。