本の話⑪ 『いわずにおれない』

『いわずにおれない』
まど・みちお著(集英社be文庫¥700)より

p154
…ぼんやり見過ごさずに一生懸命見れば、この世にハッとすることは無限に存在する。そして自分を震えさせてくれるものがあれば、詩は生まれてくるんだと思います。…

 まど・みちおさんは徹底した観察者であり、どんなに小さなことや生き物からも感動を汲みとれる詩人だった。このような「なるほど」「おお、そうなんだ」と思わせる言葉が随所に散らばっている。彼の素晴らしい抽象画も数枚載っている。お買い得の本です。
 まどさんの詩で僕はこれまで〈百歳のうた〉(5曲の女声合唱組曲)、〈いま!〉(7曲の女声合唱組曲)、そして〈アリ〉という単曲を作曲している。
 まどさんのあれやらこれやらに接するにつけ、敬愛の念がますます深まっていく。生前にお会いできなかったのはつくづく残念だが、まどさんの詩を味わっていると、それだけでまどさんにお会いしたような気持ちになるから不思議だ。まだまだ作曲してみたい詩がたくさんあり、折あらば❗と思っているのです。

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