🌟ピアノ大好き②

もう一枚のレコード、ドビュッシー<前奏曲集 Ⅰ>のピアノのロベール・カサドジュは当時有名だったピエール・カサドジュの息子、と見当をつけて買ったのかもしれない。
聴いてみると未知の世界が広がった。旋律法・和声法が僕が馴染んできたものとはまったく異なる。それゆえ良くわからない。が、何か惹き付けられるものがある。毎日針を落とすことになった。
1ヶ月ほどそれを続けたが、ある瞬間「あっ、そうなんだ❗」とドビュッシーの音楽が腑に落ちた。音楽の専門知識はほぼ皆無だったので、その理由は分からなかった。たぶん旨しさ、味わい方が分かったのだろう。
それはacquired tasteと似ているかもしれない。訳せば「後天的に獲得された味覚」ということになるだろうか。初めてブルーチーズを食べると「なんかキツい匂い、変な味」と感じるが、食べ続けるうちに「おお、コレコレ❗」となる、それと似ている。
もっともクラシック音楽はだいたいそんなもので、何回も聴いているうちに少しずつわかってくるのである。
その後、ドビュッシーは折に触れて僕の内部に刺さってくることになるが、この<前奏曲集 Ⅰ>は作曲を志すようになった僕には「バイブル」のような存在であり続けたのだった。