花岡千春ピアノ独奏会

2021年9月12日東京文化会館小ホール
前半がシャブリエの《絵画的小品集》8曲。なかなかのヴォリューム感。骨組みがはっきりと見えてくる濃い表現。僕のシャブリエ観に別な頁が加わったような気がした。
ラヴェルの〈亡き王女のためのバヴァ―ヌ〉伸びやかな演奏。この曲は学生時代に大好きだった曲で、洋ちゃんこと三浦洋一師と2台ピアノの連弾を何回もやった記憶がいま甦った。
後半はフォーレの歌曲のピアノ編曲版が5曲。ピアノからこぼれでる「歌」の豊穣に浸った。
最後に組曲《ドリー》のコルトーによる独奏版。目を瞑って聴いているとピタリと合った連弾を聴いているように錯覚しそう。全く難しそうに聴こえないが、難しいだろうなぁ。譜面が届くのが待ち遠しいがコワい。「こりゃ弾けないわ」になるやも、です。

いつもながら弾き手ご本人による詳しいプログラムノート。これも貴重である。
「そうか、花岡千春ピアノ独奏会は1曲ずつを言葉と演奏で浮き彫りにする、その全体がレクチャーコンサートであり、さらに言えば一つの作品である」と観じた時に、あの日の午後の体験が一つの塊となって僕の中で昇華されたように思われた。

今後も是非続けていただきたいコンサートである。