2019年、樹の会の委嘱により合唱劇〈二つの愛の物語ーあずさ弓・筒井づつ〉を発表したが、今回はその前半部のみをソリスト二人用にエディットして作品化を試みた(原台本和合亮一)。テノール、メゾソプラノ、箏、十七絃、尺八という編成。
重唱によるミニオペラは〈おしどり〉〈敦盛・直実〉に次いで3作目となる。
テノールは夫と語りの二役を演じるが、それでは語り部が足りなく、箏曲家にも歌っていただくことを思いついた。これが思ったとおり、いや以上に魅力的効果的であることがわかった。
ベルカントの女声男声に女性箏曲家の地声、これが絶妙な対比を作り出している。加えて箏、十七絃、尺八の音色。
これは一つのスタイルの祖形になるのではないかと思われるほど印象的で説得力がある。ハマリそうな感あり、とは自画自賛の弁だが、是非皆様ご自身の耳でご確認いただきたく思う次第。
《邦楽器と共に》10月28日14時開演、東京文化会館小ホール。今更ながらマチネにしたのが残念。事態がここまで好転するのは予想外だったのですね。