箏独奏と箏群のための協奏曲 Ⅰ.谷蟆 Ⅱ.アメノウズメ

箏独奏と箏群のための協奏曲
Ⅰ.谷蟆(たにぐく)(2019)
Ⅱ.アメノウズメ(2020)
詩 新井高子 作曲 新実徳英

2章構成の22分くらいの作品。Ⅱ.は2019年に演奏されたが、今回はⅠ.を加えての全曲版の初演。5月3日紀尾井ホール、14時開演。
全員が箏や十七絃を奏し、かつ歌う。この歌、つまり合唱が実に不思議で、まるで異界からの呼び声のように、あるいは巫女たちの「祝詞」のように聴こえてくる。「古代が現代に出現」というキャッチフレーズが浮かんできたりもする。
いわゆる合唱曲は子どもたちのための作品から大人たちやプロのための作品まで、実に様々なスタイルでたくさんの曲を書いてきたが、今回の作品で聴く合唱はそれらとは全く違う。
あえて似たものを探すなら、一時流行ったブルガリアの女声合唱だろうか。西洋的ハーモニーを地声で歌う、という「共通点」を上げて良いかもしれない。
前衛的作品とは思わないが、後衛的でもない。ひょっとして前衛「的」スタイルが形骸化した現在に「殴り込み」をかける役目を果たすかもしれない。つい先日のリハーサルを聴いた新井高子さんが大変にびっくりして、「大地の底から沸き上がるアヴァンギャルド」と感想を洩らされた。同感!
洋楽の古典から現代までの価値観を礎にする、いわゆる「洋楽人」の方々に是非聴いていただきたいと考えている。どのような反応をされるのか大変に興味深い。イエスからノーまでの様々な反応を想像して楽しんでいる。
是非お出かけください。


深海さとみ 箏リサイタル

2023年5月3日(水)14:00開演 紀尾井ホール
新実徳英作品:Ⅰ. 谷蟆 Ⅱ. アメノウズメ
詩:新井高子

箏:深海さとみ、囃子:堅田新十郎、深海合奏団