<盲目の秋> 詩 中原中也

バリトン、低音25絃、尺八のために
10月21日東京文化会館小ホールにて初演。
バリトン 松平敬、低音25絃 金子展寛、尺八 田辺頌山。

出演の皆様のおかげで佳き初演となった❗のでしたが、僕自身の不明により、もっとできるはずのことがあったと今朝になって思い当たりました。以下のようなものです。

実声と裏声、裏声と尺八、全体の「軸」である低音25絃、それらの織り成す重層性の中に中也の詩の奥に潜んでいる「狂気」が漏れ聴こえてくる、そんな音宇宙を表出したかった。
と今日になってやっと自らの意図を言葉にまとめることができた。
作る前に漠然とイメージした音像、書きながら具体的に探った音たち、それらを納得してたはずだが、練習に立ち合いながら、何かしら感じていた隔靴掻痒感、その正体が今ごろ分かったのだった❗
無意識と意識の境界域は実に広く、薄闇に包まれています。自らの不明を残念に思うが、分からない時はわからないのである。

という訳で、演奏会が明日なら、このような領域に皆様を導くことができるように思います。が、このように自らの内部を総括できたのは、まさしく昨日の初演があったからだ。
なんとか再演の機会を得て、曲を成長させたく思う。