昨年はコロナのために中止。今年のコンサートは第27回となる。今の年号から27を引けば1994年が第1回となる。なんと「大過去」である。当初は新曲と限ってはいなかったがある年から新曲が「縛り」となった。プログラムの記録を見ながら数えてみたら、この会のために計22曲を作り、今回が23曲目となる。
新曲〈ソムニウム〉の発想についてはすでに記したので形式について記すことにする。
僕の言う「螺旋形式」に属するが、中身はやや複雑。
即興的な部分、密度が次第に高まるパッサカリア的部分、シンメトリーのような部分、などから成る。つまり部分が形式を持ち、その集まりで全体ができている。部分集合形式とでも言おうか。
ベートーベンのop.110のピアノソナタは巨大な作品だが、そのような形でできていると思う。
さて、演奏会は多士済々の感、それぞれに名作力作が聴かれた。YouTubeにアップロードされているので是非お聴きください。
僕の作品に関しては板倉・中川コンビがこれ以上ないほどの強く濃いパフォーマンスをして下さり、聴衆を巻き込んだ。幸福な「誕生」をいただいた。そのような演奏を引き出したのは作品の力かもしれないが、やはり演奏の力は凄い❗ お二人に心からの敬意と感謝を表したい。
■ 四人組とその仲間たち
現代室内楽の夕べ
全音現代音楽シリーズ その27
室内楽コンサート 現代日本の作曲家
全曲新作・世界初演
2021年11月30日(火) 19:00 東京文化会館 小ホール
新実徳英作品:「ソムニウム」クラリネットとピアノのために(委嘱初演)
板倉康明(クラリネット)
中川俊郎(ピアノ)