堤剛チェロ・リサイタル
12月25日ラボにて

計8作の現代曲を並べた意欲的なリサイタル。前半の4曲は無伴奏曲。
僕の〈横豎〉(1987)も演奏された。サントリーホールのオープニングシリーズで堤先生のリサイタルがあり、その時の委嘱作品。オリジナル版は19分の大曲で、堤先生はそれを朗々と、深く、また激しく演奏して下さった。33年前、40歳の時の作品にあらためて対峙し、我ながら佳く書いたな、と自らを誉めてやりたくなった(笑)。
初演のしばらくあとに僕の個展があった時、短縮版(14分くらい)を作成し、それが僕の最初のCD〈風を聴く〉(Fontec)に収められている。演奏は安田謙一郎さん。
今回の全8曲を収めたCDがマイスター・ミュージックから〈PORTRAIT〉として発売されたので、この曲は二つのバージョンの録音が残るという幸運を得たことになる。
チェロ曲はもう1曲〈チェロ・ソナタ〉(チェロとピアノ)があり、これはなんと30分近い大曲。長すぎますね(笑)。チェロという楽器の表現力は素晴らしく、それに嵌まるとこうなってしまう。この曲はCD〈弦楽4重奏曲第2番アスラ〉(カメラータ・トウキョウ)に収められている。
いずれまとめて聴いて、チェロについてあらためて考えてみたいと、この年の瀬に思うのです。


CD:肖像 (PORTRAIT)

堤 剛(チェロ), 土田 英介(ピアノ)
録音:2020年8月17-18日 サントリーホール ブルーローズ
発売:2020年12月25日
マイスター・ミュージック MM-4084-85

松村禎三:肖像
湯浅譲二:内触覚的宇宙 IV
一柳 慧:コズミック・ハーモニー
武満 徹:オリオン
一柳 慧:限りなき湧水 ピアノ独奏
三善 晃: C 6 H
細川俊夫:線 II
新実徳英:横豎
黛 敏郎:BUNRAKU

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