詩:ナズム ヒクメット 訳詩:仲本信幸による全5楽章の混声合唱曲。昨年3月11日にオーケストラ版の初演が延期、7月の大久保混声の連弾版も延期、この3月のオーケストラ版は見送りとなり、この7月11日、やっと連弾版の初演が行われた。
大久保混声合宿団の快挙である。狭い練習場では2部に分けての練習など、ともかく細心の注意と最大の熱意で練習が続けられた。なかなか辛かったことに違いない。どのステージもそうした努力の結晶体として輝いていた。
僕の新曲は30数分の大曲で、皆さんの頑張りとその成果には目を瞠るものがあった。大きな感動をいただき、1年半の思いが晴れた記念すべき日でした。
オーケストラ版の初演は現況では2022年を通り越して2023年になりそうである。待つのは辛いが、ここは一つ「楽しみがまだ先にある」とか思うことにして我慢である。
ヒクメットの詩はスケールが大きく、灼熱の砂漠にそびえ立つ鉄骨のような叙情があり、僕のパレットでこれらの詩の中身を音楽化できのか不安があったが、ともかく持てるだけのものでぶつかるしかない、と決意した。訳詩で大曲をものするのも初めてのことだった。
成果については自分で判断するしかないが、合唱団からいただいた感想の寄せ書きを読ませていただいたら、少なからぬ感動がそれぞれの方に届いているのが分かり、一安心。引き続き第3章でコンクールに取り組んでくださるとのこと。たとえ曲の一部でも全国の皆さんに聴いていただけることになれば嬉しい限りです。
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大久保混声合唱団 第43回定期演奏会
2021年7月11日(日) 紀尾井ホール
新実徳英作品:交響組曲<生命のうた>
(ピアノ連弾版初演)
ナーズム・ヒクメット 作詩
中本信幸 訳詩
指揮:中村拓紀
ピアノ:川井敬子・村田智佳子