今日の雑感(2020.5.15)

このほど 〈 Salve Regina F〉と〈Salve Regina G〉を書き終えた。これらは同じ曲の女声合唱版と混声合唱版。英語だとmaleとmixedが同じmになってしまうので、ドイツ語の混声gemischterのgを使うことにした。
キリスト教徒ではない者がマリア礼賛の歌を作曲するのはおかしいと言われるかもしれない。が、それはキリスト教徒ではない者がミサ曲などを歌うのと似ている。
Salve Reginaの詞句から伝わる「真実」に僕は感銘を受ける。モーツァルトの Ave verum corpsを歌う人々は詞の美しさと、その本質を遥かな高みから音化した作品に感銘する。
こういったことに普遍性があるのだろうか。あるのなら我々は西洋音楽の共通理解から、宗教的立場を越えて互いを思いやる、そのようなヒューマニズムに到達できるのではないか。
ヨーロッパ17世紀前半の30年戦争、この頃ようやく「思想の自由、異なった思想に対する寛容という態度が登場しはじめる」と萩原延壽が司馬遼太郎との対談で語っている(『歴史を考える』より)。
残念ながら現在に至るまで宗教に起因する戦争は続いている。人類が相剋すべき課題を音楽が担い、やがて寛容と相互理解に達する。夢物語のようだが、そうでもないと僕は思いたい。
「私中心主義」を少し緩やかにするだけで、世界はより平和で豊かになれると考えるのは僕だけではないでしょう。