ハインリッヒ シュッツ

1585~1672、ということはJ.S.Bachの100年前のドイツの作曲家。
いまシンフォニア・サクラ集第2巻/父アブラハムよ、わたしを憐れんでください(SRCR 1989~90)を聴いている。曲と演奏の美しさが身体に染み入ってくる。
が、かく言う私は彼らからすれば異教徒である。私、あるいは私たちのなかで「父アブラハム」という言葉を真っ直ぐ受け入れられる人は少ないと思う。日本のキリスト教徒は200万人に満たないと言われているのである。
異教徒たる私にシュッツの音楽の美しさが真っ直ぐに入ってくるのは何故かと思っているのである。モーツァルトやヴェルディやフォーレのレクイエムについても同様に思う。
宗教に根差した音楽が真実のものであれば、宗教を超えてその真実が伝わってくる、そのように考えておいたら良いだろうか。

キリスト教内部においてすら、その受容の仕方の違いが戦争の原因になるという事実を前にすると、ことはそれほど単純ではないかもしれない。が、僕はどうやら音楽は宗教を超える、いわば超宗教と考えている風である。