蓼科の山小屋に置きっぱのヴァイオリンを久しぶりに弾いたらなんとも妙な音がする。鼻を詰まんで出した声のような、あるいは耳が詰まった状態で聴く音のような。
ヴァイオリンを振ってみると中でコロコロと木片が転がる音がする。さては魂柱が外れた❗
魂柱とはヴァイオリンを真上から見た時、左右のf字孔の右のヤツのやや左の位置に上板と下板の圧力で縦に差し挟まれている直径1㎝弱、長さ4㎝ほどのちっちゃな棒である。
これが外れたのは初めての体験で、下諏訪の弦楽器製作者に持ち込んで直してもらった。元のしっかりした音に戻った。やれやれ😓 湿気を吸って木が膨張し、それで魂柱が外れたとの由。
ヴァイオリンの英語の構造図を見せてもらうと、魂柱はAnimaと記されている。思わずオーッと声が出た。アニマとは元々はラテン語で、息、呼吸、生命の原理、魂といった意味の語。これを魂柱と訳したのは実に見事で、今更ながらこの小さな棒一本がないだけで、あらゆるヴァイオリンがガラクタ同然になってしまうのに気がついた。
他の弦楽器も同様な構造になっているに違いない。人類の知恵はやはり凄い、とつくづく思うのでした。