物語と音楽の出会い①

近代の劇的成果を上げるとすれば先ずストラヴィンスキーの三部作だろう。<火の鳥>、<ペトルーシュカ>、<春の祭典>、文字通りの金字塔だ。昨夏、蓼科の山小屋の夜更け、ふと目にとまった<火の鳥>のCDを聴いてみた。何年ぶりだろう。やはり素晴らしい。刻印され方がとにかく鮮やかで濃い❗名作とはこういうものだ。続く2作もそれを上回る傑作だが、ストラヴィンスキーは<春の祭典>でその路線にスパッと見切りを付けて方向を転ずる。天才の凄まじさ。
「もし」とか「れば」は歴史に関して無用の仮定だが、「もしストラヴィンスキーへの委嘱が交響曲だったら」とつい想像してみたくなる。バレエ三部作のような華やかな成果には結びつかなかったかもしれない。いや、それは凡人の僻みであり、交響曲や協奏曲でも凄まじい成果を上げたに違いない、と考えるべきだろうか。
バルトークの<中国の不思議な役人>はパントマイムのための管弦楽作品だ。不思議な面白さがある。最近聴き直していくつか感じたことがある。(続く)