読んでいてはっとする箇所が随所にある。プロだなぁ、と思わず唸る。
たとえばp48~p49。
アルチュール・ランボーの『地獄の季節』に触れて、
「…ランボーが創り出した宇宙的な幻想は、聖化された狂気であり、芭蕉に共通する空漠の孤独がある。…」とか、「…芭蕉とて自分のなかに棲む他者に向けて書いた。あるいは他者のなかにいるはずの自分に向けて書いた。…」など。平易な文体の饒舌な流れのなかに、さりげなく真実を抉っていく。詩論のように構えた文章ではないので、うっかりすると読み落としてしまうのである。
芭蕉や俳句に興味のある方には一押しのお薦め本ですね。
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