樹の会 秋のコンサート2023

9月8日宮地楽器ホール
前半が新人五十嵐琴未さんの作品。力強い一歩を踏み出していた。今後が楽しみな人だ。
後半が僕の<かきつばた>-女声合唱、フルート、ピアノのために
男声合唱とピアノのための<祈り>、混声のモテット<Salve Regina>。
<かきつばた>は僕が初演指揮をした作品だが、下手くそな指揮で思った音が得られず、藤井宏樹さんにリベンジをお願いした。結果、素晴らしい成果をいただいた。このあと「地球が滅びても良い」と宣言したくらい(笑)。<祈り>は熱い心が歌われた。中原中也に聴いて欲しかった。集中力の凄さ❗<Salve ~>は宇宙的な拡がり。天にも届け、そんな歌声だった。
14時から始まったゲネプロ。<かきつばた>が終わって休憩の時、留守電に気がついた。池辺さんからだ。不吉な予感におののきながらコールバックする。「西村が逝った」の一言。力が抜け、震えが来た。病状が分かっていたので、この瞬間をこそ怖れていた。
そのあと<祈り>の「死の時には この顋が…」の歌声を聴きながら、自分が乱れるのを抑えるので精一杯だった。
樹の会の皆さん、ごめんなさい。皆さんの楽しい、充実したコンサートを、その雰囲気を壊さないように、僕は最大限の努力をしていたのです。
素晴らしい演奏に心より感謝。そして西村朗の喪失を悲しみ、冥福を心より祈る、そんな嬉しくも辛い一夜だったのです。失ってあらためてわかる大きな存在。残念極まりないことでした。