宮本常一著『塩の道』

歴史は基本的に有名人の歴史である。無名人は歴史の影に埋もれている。貴族社会から武家社会に移っても、その間農民や漁民がどこで何をしていたかは語られない(『萬葉集』に「防人のうた」として農民のうたが収められているのは例外的なことではないだろうか)。
この書は人間が生きていくのに必須な塩というものが、どのように作られ、どのように運ばれたかに始まり、様々な食糧の栽培、稲➡️藁➡️縄・俵・草鞋etc.➡️蓙➡️畳、の文化史・文明史が語られる。それは民衆の歴史である。
いろんなところで「目から鱗」を体験するが、ここでもまさしくそれを体験。お勧めの書です!