〈戦争と愛のバラード〉③

第3曲はジャック・プレヴェールの「la guerre」=「戦争」。
訳しながら気がついた。なるほど、時制は現在形のみである。そういえばへルマン・ヘッセの詩もそうだった。僕なんぞがなんとか訳せるのは複雑な時制が一切ないからとわかった。

まず、しかるべき人の翻訳を写す。その横に自分の直訳を記す。それを多少詩文的に改める。そして自分の欲しい音形にふさわしい訳を見つけだす。
この詩の小笠原豊樹氏の訳は
きみら木を伐る
ばかものどもめ
と始まる。
たぶん由緒正しい訳である。が、歌う歌詞としてはやや「固い」と僕は感じる。そこで
あんたたち木を伐る
大ばかもの

としてみたら、音が動き始めた。いや、音の衝動が言葉を選ばせた。いやいや、実際のところは往きつ戻りつしながら言葉と音とが一体となった、のであろう。
僕がもう1つ気をつけるのは、①で記したように漢語をなるべく使わないということ。歌うというのは平仮名を歌うということで、耳から意味がスッと入らない言葉は音の乗りが悪い。

言葉と折り合いを付けながら、昨日スケッチができ上がった。完成は時間の問題となった。

時に関西合唱団の初演はいつなのか聞いていない。たぶん来年の春過ぎでしょう(笑)。


関連記事
〈戦争と愛のバラード〉①
〈戦争と愛のバラード〉②