線形幾何学 – 駒場での情けない思い出の続き

 線形代数とか線形幾何学とかがあって、これは必修科目であった。アメリカ帰りの杉浦先生は時間一杯に黒板に次から次へと方程式をお書きになる。我々は考えるヒマもなく、時間中ノートを取るので手一杯。「おまえ、分かったかよ?」と同級生に訊くと、「よく分からん」。でオシマイ。ともかくマトリックスと格闘。そして期末テスト。出来た!と言ってたヤツが不可、出来なかったと言ってたヤツが優。うやむやに答案を書いた僕は良。そう、東大の成績は優、良、可、不可、の4ランクでした。
 入学して3か月目の6月、物理学の試験があった。50人のクラスの半分近くが赤点。ボードに名前が貼り出される。もちろん僕もその一人。呼び出し、面接を受ける。野上先生、曰く「あまりに出来が悪いので、ちょっと失礼して君の入学試験の点数をチェックしました。君はかなり上位で合格している。こんなに出来ないのは何故ですか?」と真っ直ぐにお尋ねになる。一瞬絶句。そんな風に気遣って下さる温情に心が震えた。上位だったのはたまたま数学の問題が全問正解だったためで、ただそれだけ。いやはや、物理学の単位も結局はいただいているはずです。
 一つだけ自慢できるのは、なんだったか科目名が思い出せないが、ここにビール瓶がある、そこにカクカクしかじかの円錐形のポールが30°の角度で貫通した時の相貫図を示せ、というのがあって、これは得意だった。直観で行けるのですね。図学じゃないなあ(*)、透視学?
 その後の関数論、複素関数、その積分、…自分が理科系頭じゃないことを自らに気付いていく日々を送っていたのでした。

*追記;図学で間違いないようです。

愛猫ミミ「あら、あれ何かしら?」