勅使川原三郎シアターΧ公演 銀河鉄道の夜 を観る。
この宮沢賢治の作品はよく知られた魅力的な作品だがテキストとしてこれを扱うのはなかなかの難物である。谷川雁の「ものがたり文化の会」は人体交響楽の実践のため数々の賢治童話を取り上げてきたが、この作品は手付かずのままだった。難物故かと想像している。
本公演は構成・振付・照明・美術・音楽(エレクトロミュージック)全てを勅使川原氏が担当し、かつ佐東利穂子氏と舞うというもの。全てがバランス良く配せられ、語りも過剰にナラティヴではなく、自然に耳に入ってくる。
舞踏は身体、手の動きが美しく、その具象性と抽象性が印象的で心を打つ。最後近くの「…声がのどにつかえて何も言えなかった…」あたりで思わず涙が出そうになった。舞踏でこのような経験をするのは始めてのこと。
前半のエレクトロミュージックはとても刺激的で興味深いものだったし、後半のベートーベンなどの引用もセンスの佳さが光っていた。
急いでこれを記したのだが、プログラムをよく見たら昨日が4日公演の最終日であった。アップデイトダンスNo.75「END」という公演が10/2から10/10までカラス・アパラタスにてあるとのこと。乞う御期待、ですね。